• Jカスタルチアのギターはそのすんだ音響と響き、高音の伸びと豊かな低音のバランスが絶妙のギターです。
    パリではそのギターは、ブーシェの再来と言われるほどの評価を得ているギターです。特に高中音域での音質がきれいで、音の分離が非常によく、古典から現代曲まで幅広いジャンルに適した最高級ギターです。
  • ギター文化館主催の2009年5月4日に開催された「第4回やさとギターフェスティバル&シニアギターコンクール」のシニア部門で、クロニクス株式会社代表の黒江春海が優勝しました。
    演奏曲はプレリュードBWV998(バッハ)、ラ・ミラネーゼ(クレンジャンヌ)及びエチュード(ソル)でした。

雑誌「Guitardream」No.20 DEC-JAN 2009 が、黒江春海(弊社代表取締役)とのインタビュー記事を掲載しました。

J カスタルチアの取扱ギター

ギターの評価(コンサートギター)

ジャン・バプチスト・カステルチアは、 20世紀初頭以来父子代々に受け継がれている弦楽製造人の継承者、いわば他に例のない特別な製造の秘密の相続人です。カステルチアは練習用ギターの未開拓市場の中で徹底的な業務の再配分を行いました。「演奏する」というただ一つの欲求に向け研究しました。それは何日間もテストしたに違いない、今日のコンサートギターなのです。このギターはローマ通りの界隈に、つまり誰もが知っているようにクラッシク弦楽器製造業のパリ中心部に、店を構えているアトリエの中で私たちが探し求めたギターなのです。

弦楽器製造業

このギターは、製作者によって捧げられた入念さと研究をちりばめたものです。その上、クラッシックギターの形と同じように規格化され体系化された形を、製造者がどのように乗り越えて行ったかを探り当てる、偉大な神秘でもあるのです。ケースを開けた瞬間のこの視覚的興奮は、職人の才能と同様に、彼が作品に込めている愛を確認する第一段階です。これは注意深い観察に現れ、ギターの優雅さと品格に寄与している、微細な作業をしばしば経てきているということなのです。薔薇形装飾の割合、ブリッジの精巧さ、飾り縁の慎重さ、頭部の模様、メカニズムの選択、綿球でのうわ薬の仕上げ(フレンチポリシュ)、調和のれた配色、これらの要素全てが、熟慮と、しかしまた、結果はそこにあるというひらめきの、議論の余地のない成果なのです。つまり、気品と節制の異種混合の美しさをもつギターなのです。 カステルチアは素晴らしい木を選び組み立てました。スプルースの表面版はとても精巧に組み込まれており、美しく控えめな大理石模様を見せたままにしています。それは、薄板の色と共に完璧な変遷を保証しながら、楽器の美しい輪郭を強調している、黒と茶色の飾り縁に囲まれています。裏板には、ハラカンダが使用されています。この木は珍しく、というのも、以前よりほんのわずかの輸入しか許可されておらず、高価な物であるという印象を強くしています。ブリッジは完全に仕事が成されています。角の研磨を高く評価し、その繊細さを理解するためには、輪郭を少し指でなぞれば十分です。同様に頭部のための仕上の特性は、金色に染められたとても美しいメカニズムSchaller(シャレール)が乗せられ、もはや演奏する以外に存在しない、視覚的に完璧な黒檀の手が付けられています。

特性と音質

カステルチアの音の印象を語るのにふさわしい言葉があります。それはエモーション(感動)という言葉です。この感動は演奏家に、表現することをとって代わって行う楽器の完璧な性能から生まれます。それにはいくつもの特性が必要とされます。音の出易さ、音の響き、音の長さ、低音域と高音域の均衡、音色の表情かつポリフォニー(多声音)の明晰さ。カステルチアはこれらの特性を全て持っています。音の出し易さは、無理することく敏捷に表現することを可能にします。速く弾けないような人にも速く弾くことが出来るのです。技巧においての両手のシンクロナイズが、容易であると感じます。爪弾いた後(アタックの後)、たとえ長い間音を出していても、たとえゆっくりとしていても、つまりは鍛えられた表現力とされる、ビブラート奏法により顕著に感じるのですが、音の長さはあらゆる音域の中で例外的です。これは低音と高音の優れた調和の結果であるため、あらゆる音域の中で認識されます。第三弦への移行時に、減衰を感じることなく音階を上げるのは、なという喜びでしょう。連続性は音色と同様に内面の表現においても申し分ありません。音色は自然に明るく輝いており、あらゆる音を聞き分けるポリフォニーを保証します。この明晰さはいつでも、結果として、最高弦(E線)の“水先案内人”となっています。実際、第一弦の音色をどのように弾くかを感じ取るようになるまで、多くの時間をかけてこのギターを弾かなければなりません。しかし従って、結果は端正極まりない素晴らしいものであるのです。このギターは確かな研究なしには持つことができません。つまり、最初に手にするギターではないということです。自動車で言い表すなら、時速200キロメートルでカーブを切ることの出来る、フェラーリのハンドルに頼っているのではない、ということです。ここにはプロ精神と謙虚さが両立しているのです。

結果

またも、カステルチアは弦楽製造業界の小さな世界の中で、驚異的な一石を投じました。もし全ての衝撃が、この崇高なコンサートギターを私たちに贈るのと同量の喜びをもたらすなら、その時、地球は楽園となることでしょう。

ギターの評価 (ジャンバチスタモデル)

ジャン・バプチスト・カステルチアによって開発され、ブランドであるコルト(Cortes)とアマリロ(Amarillo)の下で売り出された、素晴らしい練習用ギターがあります。ジャンバチスタ(Giambatista)モデルで、ジャン・バプチスト・カステルチア(J-B. Casteluccia)は、練習用ギターとコンサートギターの中間にある、過渡期の楽器の未開拓市場に資本投資しました。シリーズは主として4つのモデル:G4,G6,そしてG8とG6bから成っています。

並はずれた音楽の可能性

同様の構想と胴に用いられる頑丈なローズウッドの同様の組立に基づいた全て、黒檀の指板そして黒檀の棒(バー)から成る全てのモデルに、ある強度の棹が備わった厚みのある頑丈なインデアンローズウッドの表面版。

素晴らしい仕上げ、とても繊細な美しいうわ薬(ニス)、黒い木製の薔薇形装飾と控え目そしてよい趣味が組み合わされている、エゾマツのとても明るい外観。このギターは眼と触覚を満足させますが、私たちを激しく感動させるのは、その並はずれた音楽の可能性にあるのです。何よりも物凄く素晴らしい反応。音は疑いなく厳密にアタックに従い、楽器の動作と音質の一致は完璧です。音色は驚嘆すべく明晰ですが、練習用ギターで は不可能とされていた、官能的側面と堅実さを保持しています。ジャンバチスタは全ての音域において美しい音の長さを持っています。右手がしっかりと固定され、そして指の下にぴんと張った弦を感じます。そこから、音の繊細な印象に確実に関与する、アタックの完璧な正確さが生まれます。しかし、それはタッチの繊細さと転調を邪魔することはありません。 比類なきコストパフォーマンスの良いこのシリーズで、ジャン・バプチスト・カステルチア(J-B.Casteluccia)は市場を激変させ、彼が提示した練習用の楽器の優秀さは、コンサートという世界に向けて開かれている真実の扉であるのです。

カスタルチアの歴史

カステルチア Custelluciaの弦楽器製造はイタリアで前世紀(1900年)の初めに始まりました。 情熱的なアマチュアとして、若干のバイオリンを製作している間、本格的に製造に取り組み始めたのはフランチェスコ(Francesco)です。

その後、彼は息子のジャン・バプチスト(Jean_Baptiste)に彼の情熱とノウハウをすべて伝えました。

カスタリチアの人々

ジャン・バプチストは、ギターの魅力にとりつかれ、ギター製造の分野で世に出るために、ヴァイオリン製造で培った経験を活かすことに決め、フランスのパリ郊外に移住しました。40年代に、彼はイタリア弦楽器製造業の非常に優れた技術を生み出す、新しい流れの中にいました。当時非常に高く評価された“ダコンパニュモン(スチール製)”と呼ばれたスチール製の弦を持つギターを、多量に普及させた発端にいたのです。

彼は、デヤンゴ・レインハート(Jazz Djaango Reinhardt)との出会いが切っ掛けとなり、マカフェリ(Maccaferri)型セルマー(Selmer)モデルのジャズギターの設計を専門にするようになりました。このモデルによって、パリの弦楽製造業の小さな世界の中で、彼の名は知られるようになったのです。

1954年に、息子のジャック(Jacques)も製造に参加するようになりました。 その後6年の間に、ナイロン製の弦を持つクラッシクギターの製造に、主に専念するという計画で、弦楽器製造の技術に技を磨いていきました。

確かに、このタイプの楽器の音響的研究は、彼らにとって未熟な段階であり、研究すべきことが沢山残されていました。ジャックに意欲を起こさせたのは、このことも原因しています。

1961年に、ジャン・バプチストはその息子に跡を継がせました。そして、60年代の終わりに、音楽学校でクラシックギターが主要な楽器になりました。ジャックはジャズギターの生産を縮小し、クラシックギターを主力にすることを決めました。このギターへの心酔は徐々に演奏者に受け入れられ、コンサートの第一ギターとして採用されるようになりました。

ジャンパプチスト

7 0年代の半ばにジャックは人生の転換期を迎えます。実際、目覚ましい発展は、彼をいっそうコンサートギターへ身を捧げることへと駆り立て、現在にまで名声を確実なものへと至らせました。

今日、カステルチア丸という音楽船は新しいキャップテン、ジャン・バプチスト(ジャン・バプチストの孫でジャックの息子)に操縦され、岬に沿いながら祖先の優れた伝統を追求しています。 ギター製造における約60年の研究の相続人は、フランスのパリの真ん中にある、有名な「ローマ通り」に工房を構えています。 36才で、もっとも厳しいギターリストの期待に応えるべく、音質がよく芸術的な美しさを持つクラシックギターを作り続けています。

ギターの製作

響鳴板

共鳴板の加工

響鳴板の選択は極めて重要な工程の一つです。ジャックは自分の経験と直感力 だけを頼りに響鳴板の木材を選びます。 第一段階において、響鳴板はヴァイオリンのイメージに沿い、アーチ状に彫られ ます。ジャックは削り工具で響鳴板の部位ごとに磨きをかけていきます。

共鳴板の厚さ測定

一旦、響鳴板が大まかに出来上がると、コンパレーター(側長器)*を使って厚さを 確認します。(*専門の測定器の名前)

次の段階は、響鳴板の外側周辺部に薔薇型の嵌め込み細工を施します。この 工程をするために、ジャックは響鳴板の上に薔薇の寄木細工(隅々に散りばめ られた様々な色の細い帯状の調和)をきちんと収めるための溝を、念入りに準備 します。薔薇型の嵌め込み細工が出来上がると、溝の中に嵌め込まれ接着されます。

次に、ダムの徹底された仕上げの段階に入ります。優れたダムを構成している内部の 棒は、響鳴板の上で測定され調節されます。

それらは、糊付けする特別な装置により、響鳴板の美しい丸味を帯びた形状に ぴったり合う型に接着されます。内部の棒は各々流線形になるように処理されます。

響鳴板が終わると、側面板の上で接着できる準備をします。

ヴァイオリンメーカーが響鳴板の構想に独自の方法を持ち、さらにそれが個性と なっていることはとても重要なことです。響鳴板の最適な念入りな仕上げは、何 年もの研究によりもたらされます。

ケース

ギターの製造で一番大切のことは、使用する材料の木材の選択にあります。 ジャックは 木材の選択と裁断に特別の注意を払っています。木材を受け取るやいなや、当然 のこと ながら鋸で挽かれ、長い期間乾燥させるために貯蔵されます。(紫檀材の場合は 10年から 20年)

側面板を求められる厚さにした後、ジャックは側面板を少し湿らせて抵抗をつけ ながら 美しい曲線を形成します。

一旦、美しい曲線が出来上がると、側面板は完全な方法で内部部分と接着できる 状態になります。

次に、ジャックは前もって型に合わせる2つの受け木を、ケースの上と下の部分 に接合して おきます。次の段階は、響鳴板と底板をのせる対の側面板の接着です。つまり添 え木は 垂直に配置されます。

底板と響鳴板は垂直になる方法では組み立てられません。ジャックはこれらの最 終段階が、 依然型によって支えられている間、背板と響鳴板の最終的な組み立てに必要不可欠な 湾曲を全てに施しながら、かんなで輪郭を綿密に修正しなければなりません。

底板の美しい輪郭へ前もって嵌め込まれている底棒は、次に対の側面板に、底板の 嵌め込み糊付けに影響しない方法で接合され、斜めにカットされます。

側面板、底板、そして響鳴板が終了すると、ジャックはケースの最終的な組み立 てへと 取りかかることが出来るようになります。

ケースの組み立てと貼り合わせは、2つの段階で行われます。第一段階は響鳴板への 糊付け、第二段階は底板への糊付けです。

一旦、ケースが組み立てられると、響鳴板と底板のはみ出した部分を取り除きます。 ジャックはケースの周囲に溝を掘り、そしてその中に弦が張られることになります。

宮下祥子のギター演奏

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